提灯!・・・


 4月21日金曜日
 各新聞社やテレビ局に、このカナダ公演のことを是非報道していただけるようにPRに回りました。雨の日でした。
 雨が降ると気分的に(花を放っておいても)楽で、国営放送やら民法さんやら、新聞社の集まる県庁と市役所内の記者クラブ、ローカル新聞社などを回りました。

 それらをすますと、「俳句」で使う提灯の部品を買いに市内の電機部品屋さん(?)に。着いたときは土砂降りで、小学校の理科の実験で使ったような電池ボックスと豆球を団員分揃えました。
 団員のひとりが、よく土産物で売られている「提灯」を大量に買ってくる手はずになっていました。この提灯にこれら理科実験セットをつけるのです。

 みんなそれぞれに忙しい時期だったと思います。僕も花のシーズンでとても忙しくて、何の旅行の準備もしてませんでした。この日は家を出たのを良いことにこれらの帰り道、ショッピングセンターに足を向け旅行グッズの買い物。
 結果的にはこの日の買い物で僕の旅行準備は間に合うことに。

 提灯のことが気になり、これを考えてくれている団員に連絡を取り落ち合いました。さらに大雨・・・。

 提灯・・・、
 「17俳句」の中では時間の経過とともに明かりが落ちていき、そこで提灯の明かりが点るという、とっても重要な位置を占めるのです。

 初演のとき使った提灯もあったのです。
でも、

 「あのセットは健在なのか?」から始まり、
   (今回初めて俳句のステージに乗るメンバーの分も含めて)
 「もー、あんな大変な思いしたない!」
   (つまり前回豆球を取り付けたのはとっても大変だったらしい)
 にも関わらず
 「ええい、また新しく買ってしまえ」にまで発展してしまい、
   (まぁ、初演の時のには27回音楽会って文字も入っていたしね・・・揃わないしね・・・) 

 提灯作成班・班長(いつの間にか僕もこの班にも組み込まれていることにこの時点で気づく)の勤めるお店に着き、

 「で、これどーやって付けるの?」
 「んー、クリップで留めようかな?って思ってるんやけど」

 前回の提灯は一つ一つビスで止めてある。このビスの穴を開けるのがとにかく面倒くさく大変だったらしい。にもかかわらず団員側からは明かりがつきにくいやら、壊れやすいやら文句たらたら。

 「んー、どーしよかな?」

 時すでに出国1週間前・・・(^_^;)

 4月22日(土)、23日(日)
 土・日は花の出荷でとてつもなく忙しい日。
 でも土曜にカナダ行きのレジメを作るというチーフマネージャー君のアパートに行き、日曜はその提灯作成をするらしいお手伝いをする予定が、レジメはどうも進んでいなくて、チークマネ君が一人頑張ってくれるみたい。

 連絡がない提灯班が気になり、電話をかけると、
 「んー、今日はなんにも(準備が)揃ってないんやわ」
 この班長、はじめてのお子さまが生まれたことやお仕事やら、ツアー業者とのやりとりで、時間があるはずがないのです。
 「んー、また考えるわ」とともに電話を切る。

 でもって僕はというと、雨のせいかやや少なかった花を、無理矢理箱詰めして(?)時間をあけたのにたたずむ・・・(笑)

 時すでに出国5日前・・・。

4月24日(月)
 次回の練習がホールで通しで行われるため、練習場の教会で最後の練習となる。
練習後いつも夕食もかねて打ち合わせをするのですが、その席で提灯作成班班長が突然取り出す週末に買った電球セット群
 大量に買ってきた全国津々浦々の(笑)名所の提灯はすでに僕の車に積まれてます。

 「クリップで止めるんじゃなくて、こーやって、これで貼ろうと思うんやわ」
 これ、といって取り出したマジックテープ一対。

 「こんなんでくっつくの?とれやんの?」
 ・・・引っ張ってみる。割と頑丈。

 はんちょー「で、この電球セットを作って、こうやってくっつけるわけ」
 「マジックテープは?」
 はんちょお「どこでも売ってると思う。これじゃなくても良いし、出来る?
 次回の練習までに作ってみんなに配らないと、あの大量の提灯どーやって一人で持っていく?」
 
 (ひぇー、そりゃかなわん・・・)

 これらやりとりの中、僕の中では時間精算機(笑)が計算して・・・ええと、火曜日は夜も花の準備があって、水曜は夜が練習やでその分仕事しなきゃいけないし、木曜は(売る花の)荷物出した後もう出発前夜・・・準備もまだしてないし・・・、とパチパチそろばんはじくがごとく計算しながら、

 (しかし、これやってくれそーな人っておらへんしなぁ・・・みんな忙しそうやし・・・ごにょごにょごにょ・・・)

とためらってるのを見て、
はんちょぅ「よし、じゃぁぼくこの電球セットを作るわ」
「え?でもそれ全部は大変やよ、無理やわ」
はんちょ〜「んー、でもテープ貼ったり、全部作ったりは出来やんやろ?」

横でやりとりを見つめていた違う団員が
 「じゃ、半分の電球セットは僕が作るわ」
ということで、商談成立!

そうか、マジックテープ貼るだけか、
それなら出来そうかな?

と提灯抱えて帰宅。
頭ン中で時間精算機が(笑)残り日程ではどーしても旅行の準備してる時間ないぞ!、と警告を出すので、帰ってから夜更かししてスーツケースに向けて物を放り投げる僕でした。文字通り投げてました。
夜中にぽぉ〜ん、ぽぉ〜ん、と

4月25日(火)
 (どーして、提灯エピソードがこんなに長くなったんだろう?と首を傾げながらも続きます)

 翌日の火曜日は(夕食前に例のマジックテープを買い出しに行ったこともあって)切り花とその準備で深夜までかかりました。
でも12時前には終えて、予想より早く終わったので割と機嫌よくビールを持って部屋に戻り、もどりぃ・・・もどぉ・・・??

 作業場の片隅に山積みになった提灯
 マジックテープがあまりに簡単に近くのホームセンターで見つかったことに安心して、仕事をしながらすっかりこの提灯に貼り付けるという作業を忘れていました。
 明日の日中はずっと切り花に時間をとられます。
 夜は練習です。
 
 練習の時にみんなに提灯を渡さないと、僕の荷物は大量の提灯で・・・(-_-;)

 部屋に戻らず、手に持っていたビールを花の作業台に置いて一人ちまちまと貼り始めました。夜中に一つ一つ提灯広げて、なにやってんだか・・・。

 しかし、一つ一つ広げていると、楽しみも覚える。
「おお!金閣寺!!」
「おぅ!二見浦ぁ」
「・・・ん?・・・・・??んん?、なんて書いてあるの?
北島さぶろうぅ?・・・なんじゃこれ?」(一人で大爆笑・・・これはこれで悲しい←笑)

 この時点で僕の疲れは吹っ飛ぶのですが、後にも先にもこんなおもしろい物は登場しなかった・・・。
二見の業者が作るのだから、せめて「鳥羽いちろう君」くらい欲しかった・・・(笑)

続く