リハーサル

「俳句」の照明などを中心とした段取りを決めながらも、合唱団の方は演目順にリハーサルを進めていきます。「マジックソングズ」、「牧歌」、「風の馬」、「17の俳句」の順です。
 演目全体としてはアンコール曲も含めて今までに何度もステージに乗せた物の中、武満徹の「風の馬」のみ初めて歌うことになります。
 「マジックソングズ」はコンクール(県・中部・全国)、音楽会で2回(男声は多治見でもう1回)「牧歌」は中国公演で2回と昨夏音楽会で。「俳句」は初演演奏会、未来会館(岐阜・音楽治療法の講演会)お城ホール公演そしてこれもコンクール、と何度も歌ってきた物です。本番に乗せるということが本当に力になるというのを何度も取り上げる中、実感してきました。(その何度もの中で、毎回新しい局面を見ます)

 「風の馬」を歌うに関しては、昨年までに取り上げた曲に差し替えようかという話が出た時期もありました。
 ・・・と、いうのも男声曲2曲は(特に「食卓の伝説」)多パートに分かれ、ほとんど一人1パートに割り当てられることになり、仕事を抱えなかなか普段の練習に集まりにくい中、練習が成立するのかとても不安に思っていたところでした。

 けれどトロント側からの強い要望もあり、女声と別日程で練習したり、工夫しながら3ヶ月の間に「うたおに」の「風の馬」を仕上げていきました。この邦人作品として最高峰とも言われ続けてきた名曲を「うたおに」はカナダでひもを解くことになります。
 
 グレングルドスタジオは控え室からの通路の扉を開けるとすぐに舞台という作りだったので、「俳句」演奏中に出入りする女声は舞台後ろに設けられた「ついたて」を利用することにしました。舞台そのものはそれほど小さい物でもなかったので何とかなりそうです。これに隠れて「俳句」の終盤部で提灯を灯すことになります。
 通路を歩いてくる男声は「俳句」のステージの前(休憩後)に客席一番後ろに並び、(歌い出し)歩き出すことに、オフ・クワイアー(客席部)に散るグループは、客席部真ん中通路の左右に分かれて何とか場所がとれそうです。最終部分のソプラノソロは・・・あれ?どこで歌ってたっけ?高いところから聞こえていたような・・・。舞台上に登ったんだったかな?(ごめん、忘れた>Y女史)

 盆踊りの所で登場する和太鼓は何とか会場側で確保したようですが、「ばち」がありません。仕方ないので一番太いドラムスティックを使いました。(しかし何で太鼓は確保できてばちはないんかな?単に借り忘れたのかな?)

 順にこなしながら、どの曲もソロ部分も多く、初めてするメンバーも多くて、なかなか思うようにはこなせないところもありましたが、あとは個人で頑張って貰うしかありません。
 突然僕に舞い降りてきたのは(笑・・・僕はソロなんぞ出来る器でないっ!)、マジックソングズの口笛。
 「マジックソングズ」ではミツバチが歌うところ(第6曲)で、ちょっとしたソロ(かけ声?)がありましたが、まぁこれくらいなら何とかなるわ、と思っていた矢先、

(第8曲・「石」が歌い出すところで)
 「Gの音の口笛誰が吹いてくれとったっけ?」と聞かれ、
 「ベースで鳴ってない?」
・・・誰もしていないようです。
 「ええと、何回も歌ってるのに、前は誰がしてたっけ?」
・・・がーーーーーーーーん!!辞めていった団員ではないか!
何でこんな基本的なこと誰も気づかんのぉ!嘘ぉ?それ以来決めてなかったの?
 「え?なんか鳴ってるように聞こえてたしぃ」
確かに、石が歌う前になんだか自分のことに精一杯で気が付かなかった・・・。

かくて、この響きの良い会場にて、したこともない口笛(僕の場合歯笛かな)の練習をもう一人とひたすら練習・・・。

「あれ?鳴らん?」「ん?鳴らん?」「あ、音違う」
・・・うーん。

子供達は控え室近くの部屋を借りて遊ばせてありますが、一緒に着いてきて下さったメンバーの娘さんも含め、添乗員さんも巻き込んでお守りしていただくことに・・・。
「皆さんの演奏はバンクーバーで聴かせていただきますので」
(あの元気もんの子供らの相手は)大丈夫ですか?
と聞いたあとのひきつり笑いは印象的で・・・(笑)

俳句の照明も含めたリハーサルは一度で済みました。
こちらのスタッフは演出の交渉をした団員が要請することは(バンクーバーを含めてそうだったのですが)まず必ず「ノー!」とは言いません。「やってみましょう」といって下さいます。
流れの中で非常に的確に進めて下さり、時間も無駄にすることなくリハーサルを終えることが出来ました。(かつて大阪であった「人間について」関西初演演奏会の時を思い出させる鮮やかさでしたね)

コンサート全体の長さを考えて、アンコールはシェイファー作曲「ガムラン」と武満徹編曲の「さくら」2曲のみになりました。
実は宇都宮のコンクールで歌った「ファイアー」も考えていましたが、何しろ日本にいるときに時間が追いつかずそれほど練習も詰められず(これに関してはコンクールに乗せたのみなので、初心者が半数以上です)、なんだか小節も拍も(笑)あわないので、一応カナダまでカスタネットは持ってきたけれど、中止になってほっとしたのが本音です。
・・・しかし、バンクーバーがまだあるよぉ・・・(>_<)

最後にそのアンコールで歌う2曲を1回ずつ歌い、リハーサルを終えました。


続く