トロント公演を終え・・・


始まってみれば、本当にあっという間にトロントの舞台は終わりました。
アンコールは予定通り、シェイファー氏作曲のガムランと、武満徹編曲の「さくら」でした。
最後の「さくら」はさすがにさっきの「風の馬」のことを少し(冷静な部分で)思い出してました。

トロント公演終了。

舞台袖に行くとシェイファー氏が迎えに来てくれました。
団長と抱き合い挨拶するシェイファー氏。

あれでよかったのかな・・・って思いがなくもなかったです。

着替えを済ませ荷物を持って同じCBCビルの中であるレセプションの会場に向かいました。ニューミュージックコンサーツのみなさんが僕たちのために用意して下さったレセプションでした。

レセプション会場にはたくさんの方々が待っていて下さっていました。
着くや否やワインとか飲み物を渡され、周りには聞きに来て下さった方々や主催者側の方々に囲まれ、

僕はいきなり初老の方に、
「Can you speak English?」
と、聞かれ、
「Oh! Sorry Ican't・・・」と(しゃべれるはずのない)僕が言いかけると微笑み、肩を抱きハミングを聴かせ、
「What's this Song?」
「・・・・ん・・・?・・・The Spring!」と、動揺しながら答える僕の肩をたたき、
握手を交わしました。

・・・考えてみたらそのハミングは「春が来た」だったので、「The Spring come」が正解(?)なのですが、この紳士にとってたぶんこのやりとりは、常套手段的な(?)もので、僕に恥をかかせまいと、でも交流して下さったんですよね?
印象的な一面でした。

レセプションはいつ始まったとも分からず話の輪が咲いていました。
演奏会のあとの放心したようなところに、緊張していてさらにまるで出来ない英語に囲まれ、かなり困惑していると・・・日本語が聞こえる・・・。
「わぁ、日本語やン!」思わず、言ってしまいましたね。(^_^;)

カナダに在住してみえる日本の方々もたくさん来て下さったようです。
色んな話をしました。

「日本のニュースで聞こえてくるのは暗い話題ばかり。こんなのを聞いてると日本にはもう戻りたいとは思わなかったんだけれど、今日の<俳句>を素材にした日本の音楽を聴いて、こんなに素晴らしいものがあるんだ、日本も捨てたもんじゃない、と思いとても嬉しかった」

身に余る言葉でした。
でも、内だけにいるとどうしても、どこが基準で何が良いのかさえ見えにくくなってきていて、本当に思いを持って続けてきた「うた」でこのカナダという外の世界で(本当はとても当たり前な事なのに)共通の部分を再確認してメンバーともここにいるみなさんとも分かち合えたのは、とても嬉しいことでした。

レセプションでの時間は、何がなんだかとにか分からないまますぎていきましたが、トロントのお客様が喜んで帰ってくれたこと、主催者側やシェイファー氏が熱い思いで僕たちの演奏のことを語って下さってるのはよく分かりました。

会場で記念撮影をして、レセプションを終えました。

タクシーに乗る前に団長がみんなに
「みんなも緊張してました。でも僕も緊張してました」
と言う割には嬉しそうに、満足そうに話していましたね。

メンバーは一つ終えてやれやれという面もち・・・
でも充実した時間が一つ終わってしまった余韻にひたっていました。

タクシーに乗りCBCビルを後にホテルに帰りました。

先に着いていた(ベビーシッターでくたくたなはずの)添乗員さんが笑顔で暖かく迎えてくれました。

「みなさん〜!ごくろうさまでした。
この”恐ろしい紙”をちゃんと貰って、部屋に帰って下さいね〜」

・・・「恐ろしい紙??」

その紙の冒頭には「5時半モーニングコール」と書かれていました・・・。
(-o-;)

続く